ブログ

AI 活用が『定着しない』本当の理由とは?──企業 426 社の実態調査から見えてきた構造的な課題【AI 活用実態調査 2026】

「AIを導入したのに、表面的な利用にとどまっている」
「PoC(実証実験)は成功したのに、本番運用に移行できない」

こうした壁に直面している企業は、今や珍しくありません。

多くの場合、その原因は「AI人材が足りないから」と認識されます。しかしフライウィールが 2026 年 3 月に実施した調査では、人材不足の背後に、より根本的な構造的課題が存在することが明らかになりました。

今回は、調査結果のポイントをお伝えします。

 

調査概要

  • 調査目的:BtoB領域における企業のAI活用実態と、構造的なボトルネックの把握
  • 調査対象:従業員数1,000名以上の企業に勤める会社員
  • 調査手法:インターネット調査
  • サンプル数:426名
  • 調査時期:2026 年 3 月

最大のボトルネックは「AI 人材不足」が 4 割と最多──しかし、それだけではない

まず、AI 活用において現在最も大きな障壁と感じることを聞いたところ、約 4 割(39.6%)の企業が「AI 人材(企画・開発・運用)の不足」を最大のボトルネックと回答しました。

続いて「セキュリティ・コンプライアンスへの懸念(29.3%)」「投資対効果(ROI)が見えにくい(27.8%)」が上位に並びます。

ここまでは、多くの企業が「なんとなく感じていた課題」と一致するかもしれません。

しかし調査データをより深く読むと、別の構造が浮かび上がってきます。

「導入後」の課題が浮き彫りに。AI 活用における 3 つの障壁

① データ品質・信頼性の不足

「AI活用に必要なデータの品質・信頼性が確保されている」と回答した企業はわずか 38.2% にとどまっています。

AIが正しく回答するためには、モデルの性能よりも先に「AIが理解できる状態のデータ」が不可欠です。この土台が整っていなければ、どれだけ優秀なモデルを導入しても精度は上がりません。

② 改善サイクルが回っていない

「AI 活用を継続的に改善するサイクルが整備されている」と回答した企業は、約 34.1% にすぎません。

6 つの成熟度軸(方針・戦略、データ、基盤・インフラ、人材・組織、ルール・ガバナンス、定着・改善)で評価したところ、「定着・改善」セクションのスコアが全セクション中最も低い結果となりました(平均スコア:2.98)。

AI を「使い続ける仕組み」が整っていないことが、定着を阻む根本原因のひとつです。

③ ROI・成果が測れない

「投資対効果(ROI)が見えにくい」と回答した企業は 27.8%。定着・改善のサイクルが整っていないからこそ、成果が可視化できず、経営層への説明も困難になります。

意思決定層と現場では、課題認識にギャップ

意思決定者と現場運用者では、ボトルネックの捉え方に差があることも明らかになりました。

ボトルネック意思決定者現場運用者
AI人材不足38.6%39.7%
セキュリティ懸念35.9%23.2%
ROIの不明確さ33.8%21.2%
データ基盤の未整備32.4%19.9%

意思決定者は ROI・セキュリティ・データ基盤を重視し、現場は AI 人材不足を最大課題と見ています。この認識のギャップ自体が、推進を遅らせる一因になっていると考えられます。

製造業は特に「データ基盤」「現場の心理的抵抗」に課題

業種別に見ると、製造業はIT・ソフトウェア業に比べて「セキュリティ・コンプライアンスへの懸念(31.7%)」「データ基盤の未整備(27.2%)」「現場の理解不足・心理的な抵抗感(27.2%)」をより強くボトルネックと認識していることがわかりました。

製造業では AI 活用の業務浸透に特有の課題があり、データ整備から伴走支援まで包括的なアプローチが求められています。

「AI は競争力の鍵」8 割越えの企業が認識

こうした課題を抱えながらも、今後 3〜5 年で AI 活用が競争力に「決定的な差を生む」または「大きな差を生む」と回答した企業は 57.1% にのぼりました。「ある程度の差を生む」を含めると、実に 85.2% の企業がAI活用を競争力の鍵と捉えています。

AI 活用を「やりたい」気持ちと、「うまくいかない」現実のギャップ──このギャップを埋めるカギが、データの AI-Ready 化です。

さらに、AI が定着する企業としない企業の差、そのヒントが調査レポートでは明らかに。

ご覧になりたい方は下記よりダイジェスト版を無料でダウンロードいただけます。

調査レポートを無料でダウンロードする

よくある質問

Q. AI-Ready とは何ですか?

A. AI 活用に必要なデータ品質・組織体制・ガバナンスが整備された状態のことです。フライウィールでは「方針・戦略」「データ」「基盤・インフラ」「人材・組織」「ルール・ガバナンス」「定着・改善」の 6 つの成熟度軸で AI-Ready の状態を定義しています。単に AI ツールを導入することではなく、AIが継続的に成果を出し続けられるデータと組織の土台が整っている状態を指します。AI-Ready 化の条件については、こちらのページでも解説しております。

Q. なぜ AI 活用は「定着」しないのですか?

A. フライウィールの調査(2026年3月、n=426)では、多くの企業が人材不足を原因として挙げますが、構造的な要因はデータ品質と改善サイクルの未整備にあります。具体的には、「AI 活用に必要なデータの品質・信頼性が確保されている」と回答した企業はわずか 38.2% にとどまり、「AI 活用を継続的に改善するサイクルが整備されている」企業も 34.1% にすぎません。AI の出力品質はデータの品質に直結するため、データ基盤の整備なしには定着が困難です。

Q. 日本企業の AI 活用における最大のボトルネックは何ですか?

A. フライウィールの 2026 年調査(従業員 1,000 名以上の企業に勤める会社員 426 名対象)で明らかになったのは、最大のボトルネックは AI 人材(企画・開発・運用)の不足(39.6%)です。次いでセキュリティ・コンプライアンスへの懸念(29.3%)、投資対効果(ROI)が見えにくい(27.8%)が続きます。ただし、より深層にある構造的な課題として、データ品質の未整備と改善サイクルの欠如が挙げられます。

Q. 製造業の AI 活用に特有の課題はありますか?

A. 同調査から明らかになったのは、製造業は IT・ソフトウェア業と比較して「セキュリティ・コンプライアンスへの懸念(31.7%)」「データ基盤の未整備(27.2%)」「現場の理解不足・心理的な抵抗感(27.2%)」がより強く課題認識されているという事実です。製造業の現場では暗黙知に依存した業務が多く、ナレッジの共有・データ化が進みにくい構造的な特性があります。

Q. AI 活用の社内浸透度はどうやって測ればよいですか?

A. フライウィールでは「FAIR Assessment」というフレームワークを提供しています。このフレームワークでは、「方針・戦略」「データ」「基盤・インフラ」「人材・組織」「ルール・ガバナンス」「定着・改善」の 6 軸で自社の AI-Ready 度を可視化し、優先すべき課題と打ち手を明確にします。まずは本調査レポートで業界平均スコアと自社の状況を比較することから始めることをおすすめします。

Q. AI 活用への投資対効果(ROI)が見えにくい場合はどうすればよいですか?

A. 調査でも、27.8%の企業が ROI の不透明さをボトルネックとして挙げています。ROI が測れない根本的な原因は、成果を評価するためのデータ基盤と計測の仕組みが整っていないことにあります。まず AI 活用の目的と評価指標(KPI)を定義し、それを計測できるデータ環境を整えることが先決です。フライウィールの FAIR Assessment では、ROI 評価指標の設計も支援しています。