こんにちは。Sr.Program Manager の熊谷です。
フライウィールでは、エンタープライズ企業の複雑なデータ課題を解決するため、独自のアジャイルフレームワーク「FAF(FLYWHEEL Agile Framework)」を運用しています。この度、アジャイル開発手法のレベルアップを目指した連続勉強会「FAF/アジャイル勉強会」をスタートしました。本レポートでは、先日開催された第 1 回の模様と、その学びを皆さんにお伝えします。
はじめに:FAF/アジャイル勉強会とは
「FAF*/アジャイル勉強会」は、社内におけるアジャイル、特にスクラムに関する知識と実践能力の向上を目的とした社内勉強会です。
(*「FAF」の詳細については、こちらのブログを参照ください。)
本勉強会の最大の目的は、参加者が知識をインプットするだけに留まらず、それを実務で実行できるレベルまで引き上げることです。体系的な座学に加え、「実践」パートを重視した構成とすることで 、アジャイルを現場で活かせる即戦力化とアジャイル文化の浸透を目指しています 。

メインセッションのハイライト:「ゴール」にこだわるアジャイルの真価
第 1 回のテーマは、アジャイルの根幹をなす「ユーザー価値の探求」とし、特に「ゴール」に焦点が当てられました。
フライウィールでは、アジャイルをゴールへ到達するための道筋を探る方法論と捉え、ステークホルダー間でゴールに関する共通認識を持つことを重視しています。
『ゴール』『共通認識』と聞くと、難しく感じるかもしれませんが、日常生活に例えるとわかりやすいと思います。
例えば、「山登りをするから、必要な道具を揃えよう」としても、登る山が富士山なのか筑波山なのかによって、必要な装備や具体的なアプローチは異なりますよね。プロジェクトでも同じように、具体的な行動や必要なものは、目指すゴールによって変わってきます。
セッションで解説された主なコンテンツ:
- ミッションステートメント
- ターゲットペルソナ
- カスタマージャーニーマップ
- バリューポジションキャンバス
- プロダクトミッションの策定
- プロダクトミッションの運用と共通言語化
フライウィールでは企業のデータ戦略の策定と最適化の企画フェーズからご支援する機会が多いため、勉強会では実際のプロジェクトで用いられたゴールの決め方とその浸透方法について紹介されました。
ここからは、実際にプロジェクトを担当したプロダクトマネージャーが用いた具体的なアプローチとフレームワークをご紹介します。
ターゲットペルソナ・ユースケース
「ユーザーは誰か?」「そのユーザーの課題は何か?」を顧客の声から言語化し、最もインパクトの強いユースケースを特定します。
このプロセスでは、顧客にとにかく話してもらうことが大切です。声に出すことで、顧客を含めてステークホルダー全員の認識が深まり、言語化を繰り返すことで共通認識へと昇華されていきます。
整理にはホワイトボードやポストイットを使い、インタラクティブに進めるのが良いでしょう。

カスタマージャーニーマップ
ユースケースにおける具体的な行動(横軸)と課題、感情の流れ(縦軸)を図示し、「いつ、どのような目的で利用するか」という具体的な利用イメージを明確にしていきます。
ゼロベースでの議論はハードルが高いため、共通認識を得たターゲットペルソナ・ユースケースを用いて、まずはたたき台を作成します。
その後、ステップや感情を一つひとつ確認し、違和感や漏れをなくしていきます。そうして、特に重要な課題を明確にして合意することで、後々の変更を避け、本質的な課題にフォーカスできるようになります。

バリュープロポジションキャンバス
バリュープロポジションキャンバスは、Customer Jobs*1 を遂行する上での Pains*2、ジョブが成功した際の Gains*3 を整理し、それに対して Products & Services*4 が提供する具体的な解決策(Pain Relievers*5)と生み出す価値(Gain Creators*6) が適合しているかを確認するためのフレームワークです 。
これにより、プロジェクトは「誰にどのような価値を提供するのか」というプロダクトミッションを言語化し 、本当に価値のある製品を発見する(ディスカバリー)ことに繋がります
*1 Customer Jobs:ユーザーが達成したいと望んでいる機能的・感情的・社会的なタスク(目標)
*2 Pains:Customer Jobs の遂行を妨げる障害や問題点
*3 Gains :Customer Jobs が成功した際に得られるメリット(期待する結果、具体的な利益)
*4 Products & Services: Customer Jobs をサポートするために提供する機能やサービス
*5 Pain Relievers:ユーザーの Pains をどのように取り除くかを具体的に記述したもの。Pain と 1 対 1 で対応させる。
*6 Gain Creators:ユーザーが Gains を達成できるように、どのような付加価値を創出するかを具体的に記述します。Gain と 1 対 1 で対応させる。

プロダクトミッションの策定
これらのフレームワークを用いて、最終的にはプロダクトミッションを策定します。プロダクトミッションは、「誰に」「どのような価値を提供するのか」を明確にしたものです。
例:深夜帯にトラブルが発生した際に一人で対応が必要な入社 2 ~ 3 年目の若手に対して、トラブルの初動から応急処置完了までの各ステップにおいて、必要な情報を集め、整理し、わかりやすく提供することで、対応者が迅速に的確な判断をできるように支援する

プロダクトミッションの運用と共通言語化
プロダクトミッションは策定して終わりではなく、その後の運用が重要です。 策定したミッションは毎回のミーティング冒頭で読み上げ、関係者全員の共通言語化を図ります。
この運用は、意思決定が必要な際にミッションに即した的確な判断を行う上で重要な意味を持ちます。
フライウィールでは、ミッションをすべてのミーティング冒頭で読み上げ、意思決定の判断基準として浸透させています。
この浸透ができていれば、プロジェクトのフェーズが変化しても、共通認識となっているプロダクトミッションに基づき、一貫した品質のプロダクト開発に繋げることができます。

FAF(FLYWHEEL Agile Framework)を使って同じクオリティを担保する
上記で紹介した手法はプロダクトマネジメントにおいて広く知られたフレームワークではありますが、担当者ごと、案件ごとに取り入れようとすると難易度が高いです。
そこで、FAF ではすぐにフレームワークを取り入れることができるように各テンプレートやガイドを用意しています。これにより、属人化を防ぎつつ素早くプロジェクトに取り入れることが可能です。
本記事で紹介したフレームワークや手法は、FAFの次のようなツールで用意されています。
Carte
ターゲットペルソナ・ユースケース、カスタマージャーニーマップ、バリュープロポジションキャンバスを構築していくためのテンプレートです。
テンプレートに従い作成していくことで、議論の土台が整理され、最終的なプロダクトミッションの策定までカバーできます。
ミーティングテンプレート
各ミーティング(キックオフミーティング、Sprint Planning / Sprint Reviewを含む定例ミーティング)向けに、あらかじめ標準アジェンダを定めています。
このテンプレートに従い、プロダクトミッションの策定でご紹介した全てのミーティング冒頭で読み上げ、意思決定の際に常に立ち返る共通言語を全ての案件で徹底しています。

当日の様子と参加者の声
当日は、オンラインとオフラインのハイブリッド形式で開催し、オフライン会場(カフェテリア)にも多くの参加者が集まり、熱気あるセッションとなりました。
質疑応答では、セッションで共有された具体的な手法に関する次のような活発なディスカッションが行われました。
- プロダクトの成長に伴いカスタマーが変わる場合にゴールを変えるべきか?
- ゴールを明確化するためのチーミングのコツは?

最後に
アジャイルは、不確実な未来に対して動く成果物を通じた対話と学習を高速に繰り返すプロセス・マインドセットです 。今回の勉強会は、大前提として、ゴールに関する共通認識の確立とその浸透の重要性を再認識できる有意義な開催となりました。
「FAF/アジャイル勉強会」は今後も継続し、体系だったアジャイル知識の習得だけではなく、実践を行えるように支援していきます。引き続きブログでも紹介していく予定なので、ぜひ楽しみにしていてください。第2回では、「ゴールを実際の活動に落とし込んでいくためのフレームワーク」として、バックログ、ユーザーストーリー、ユーザーストーリーマッピングを扱います。
フライウィールでは、現在エンジニア職種、ビジネス職種ともに積極採用中です。少しでも弊社にご興味お持ちいただけましたらお気軽にお問い合わせください。