導入事例:フォーティネットジャパン合同会社

フォーティネットジャパン合同会社

業界最前線の知見をAIで共有
OTセキュリティをより多くの人の手に

  • Conata Data Agent
  • Discovery

フォーティネットジャパンが
挑むOTセキュリティの啓発
専門知識の壁をなくし、
業界全体のレベル向上を目指す

フォーティネットジャパン合同会社
OTビジネス開発部 部長
佐々木弘志 氏

製造業が直面するOTセキュリティの深刻な課題

 フォーティネットジャパン合同会社(以下、フォーティネットジャパン)は、ファイアウォールをはじめとするネットワークセキュリティ分野で世界をリードしてきました。近年、製造業などの OT(Operational Technology:制御・運用技術 )領域でもセキュリティ需要が急速に高まっています。しかし、OT 環境には IT とは異なる独自の事情が横たわります。長年クローズドで運用されてきたためセキュリティ文化が根づかず、専門人材もごく限られているのが実情です。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が製造現場にも押し寄せ、機器がインターネットにつながる今、サイバー攻撃やマルウェア感染のリスクは日ごとに上昇しています。もしラインが止まれば、生産計画のみならず社会インフラにまで影響しかねません。こうした背景から、フォーティネットジャパンの OT ビジネス開発部は「製品を届けるだけでは不十分だ」と考え、業界全体の底上げを見据えた啓発活動に力を注いできました。

Conata® Data Agent導入の背景

専門知識の「民主化」と「スケーラビリティ」という二大課題の克服

 OTセキュリティの啓発活動を推進する上で、フォーティネットジャパンが直面した大きな課題は、専門知識の「民主化」と「スケーラビリティ」の確保でした。OTセキュリティは専門性が高く、限られた専門家しか対応できないという現状がありました。この属人化を解消し、より多くの人がOTセキュリティの重要性を理解し、具体的な対策を講じられるようにするには、専門知識を分かりやすくかつ広範囲に届けられる仕組みが必要でした。

 フォーティネットジャパンは当初、OTに関するコンテンツを作り、パートナー企業向けのトレーニングを実施するなど、人力での地道な啓発に取り組んでいました。しかし、人海戦術による取り組みには限界があり、スケールさせることに課題を感じていました。優れたコンテンツが多数存在するにもかかわらず、その普及を担う人的リソースの確保が困難な状況にあったのです。

 そこで着目したのが、AIを活用したソリューションです。AIエージェントに専門知識を搭載し、誰でも容易にアクセスできる形にすることで、OTセキュリティに関する疑問や課題を抱える担当者が、必要な情報を必要な時に得られるようになります。AIを活用することで、属人化しがちなノウハウやコンテンツを標準化し、人的リソースをうまく削減しながら広範囲に届けることが可能になります。

 こうして、フォーティネットジャパンが保有する膨大なOTセキュリティ情報をインプットし、対話形式で分かりやすく提供できるConata® Data Agentの採用が決定しました。

選定の決め手と評価

スピーディーな開発とOT領域への深い理解

 Conata® Data Agentをベースに誕生したのが、フォーティネットジャパンの人気非公式キャラクター「フォーティ君」を冠したAIエージェント「フォーティ君AI」です。とっつきにくい印象を抱かれがちなOTセキュリティを、親しみやすいキャラクターがやさしくナビゲートしてくれることで、ユーザーの心理的なハードルを下げ、より多くの人にOTセキュリティに関心を持ってもらうことを目指しました。

 数ある AI ソリューションの中で Conata® Data Agent を選んだ理由は、フライウィールの“開発スピードの速さ”と“課題理解の深さ”にあります。

 「フライウィール社は、製造業でのデータ活用実績が豊富で、我々のビジネスやOTセキュリティ特有の課題を的確に把握してくれました。初めての AI 開発で手探りでしたが、要望を的確に理解しスピーディーにプロトタイプを開発してくれた点も大きな決め手となりました。」(佐々木氏)

 開発初期段階での密なコミュニケーションと、アジャイルな進め方により、フォーティネットジャパンの期待に応える結果に繋がったと評価しています。短期間のサイクル(スプリント)で要件と成果物を検証する開発形式により、初期段階から実際の動作を確認しながら迅速に改善を進めることができました。実際に、データ受領後約1ヶ月という短期間でエージェントを開発し、お客様が実際に利用できる状態にまで到達させました。これは、契約締結からわずか2ヶ月ほどでの実現となります。

 迅速な開発プロセスに加え、特に印象的だった点として佐々木氏はフライウィールのプロンプトエンジニアリングの技術力を挙げます。

 「単に情報をAIにインプットして終わるのではなく、質問の意図を正確に理解し、的確かつ分かりやすい回答を生成するためのチューニングが非常に重要であることを実感しました。我々の要望を的確に捉え、まさに『神が宿る』とも言えるようなきめ細やかな調整でAIの応答品質を高めていくフライウィール社の技術力には感銘を受けました。」(佐々木氏)

 こうしたスピードと品質の背景には、フライウィール独自の 「FLYWHEEL Agile Framework」 があり、短いサイクルでのフィードバックを徹底することで顧客価値を最大化しています。
 
 

 フォーティ君AIの実際の画面  

導入の効果と今後の展望

イベントでの活用からグローバル展開、そして「共助」のプラットフォームへ

 「フォーティ君 AI」は現在、イベントなどで公開中ですが、早くも好意的な声が届いています。今後は、国内で開催される大規模イベントでの活用も計画しており、「フォーティ君AI」を通して社内外への情報発信やOTセキュリティの啓発活動へ貢献できると考えています。

 佐々木氏は、「イベント会場では、多くのお客様が様々な疑問や課題を抱えて来場されますが、専門知識を持つ説明員の数には限りがあります。『フォーティ君AI』を活用することで、より多くのお客様の疑問に迅速かつ的確に答えることが可能になります。また、お客様が人手を介さずに気軽に質問できる環境を提供することで、OTセキュリティへの関心を高めるきっかけにもなるでしょう」と、イベントでの活用効果に期待を寄せます。

 さらに、今後は「フォーティ君AI」のグローバル展開も視野に入れています。AIエージェントは物理的な制約を受けにくく、多様な言語や文化圏への適応が比較的容易であるため、短期間でグローバル展開がしやすいことも大きなメリットのひとつです。OTセキュリティの課題は日本国内に限らず世界共通のものであり、将来的には海外の拠点や顧客にも「フォーティ君AI」が展開され、グローバルでのOTセキュリティレベル向上への貢献が期待されています。

 そしてフォーティネットジャパンは今後の展望として、Conata® Data Agentの活用範囲を単なる販促ツールに留めることなく、実際のプロジェクト推進にも貢献できるツールへと進化させていこうと考えています。具体的には、コンサルティングや簡易アセスメントといった領域での活用を見据えており、顧客がコンサルティング費用を抑え、より多くのリソースを具体的なセキュリティ対策に投じられるように支援したいという同社の強い思いに基づいています。

 「Conata® Data Agentをより高度な分析や提案が可能なツールへと進化させることで、企業は自社の状況に合わせた具体的な対策を効率的に検討できるようになります。これは、フォーティネットのパートナー企業にとっても極めて強力なツールとなるでしょう。」(佐々木氏)

 この目標に向け、“案件支援用エージェント”として活用するプロジェクトも既に開始しており、今後もOT領域のセキュリティ強化を多角的にサポートしていく予定です。将来的には、Conata® Data AgentがOTセキュリティの専門家のような役割を担い、業界全体のセキュリティレベルを向上する「共助」の仕組みの実現を目指します。
 
   
 

お客様からのコメント

最後にメッセージをお願いします
 「AIは、現代社会において不可欠なテクノロジーとなりつつあります。AI活用を検討する際、ソリューションの比較に時間をかける企業も多いでしょう。しかし重要なのは、比較よりも速度であると考えます。AIはあくまでツールであり、その活用目的を明確にし、スピード感を持って実行することが成功の鍵となります。短期的な成果と長期的な価値創出の両立を目指し、今後もフライウィール社と緊密に連携しながら、AI活用の可能性を最大限に追求していきたいと考えています。」(佐々木氏)

 フォーティネットジャパンは、Conata® Data Agentという新たな力を得て、業界のOTセキュリティ強化に向けた取り組みをますます加速させていきます。その挑戦は、日本の製造業全体の競争力向上、そしてより安全で安心な社会の実現に貢献するものと大いに期待されます。

 そして最後に、AI活用を検討している事業者様へのアドバイスを「フォーティ君AI」に聞いてみました。ぜひ参考にしてみてください。

掲載日: 2025年 6月 9日

フォーティネットジャパン合同会社

フォーティネットジャパン合同会社は、サイバーセキュリティの世界的リーダーであるFortinetの日本法人です。20年以上にわたり業界を牽引してきたFortinetの技術と専門知識を基盤に、企業や組織を高度なサイバー脅威から保護するための幅広いセキュリティ製品とソリューションを提供しています。

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フォーティネットジャパン合同会社 OTビジネス開発部 部長


佐々木弘志 氏

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