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製造業の非構造化データを AI-Ready に―― GENIAC の枠組みにおける「アドバイザリーボード」第 1 回本会合を開催しました

フライウィールは、経済産業省および NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が推進する国内の生成 AI 開発力強化プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」の枠組みのもと、製造業に眠る非構造化データを生成 AI で活用できる状態にする「AI-Ready 化」の研究開発・実証(以下「本プロジェクト」)に取り組んでいます。

2026 年 9 月 17 日、本プロジェクトの一環として、業界横断で知見を持ち寄る「アドバイザリーボード」の第 1 回本会合をオンラインで開催しました。

この記事では、本プロジェクトにおける当社の取り組みの全体像とあわせて、第 1 回本会合の概要や活発に行われた議論のポイントをご紹介します。今後も GENIAC 関連の取り組みや登壇情報、技術的な解説記事などを順次発信していく予定で、本記事はその連載企画の第一弾となります。

GENIACにおけるフライウィールの取り組み

課題:現場に眠る「AI が読めない・使えない」データ

製造業の現場知の多くは、図面、仕様書、技術標準、作業指示書、報告書といった「人が読む前提の文書(非構造化データ)」の形で蓄積されています。これらはそのままでは AI が正しく読み取れないものが多く、生成 AI の活用において大きなボトルネックとなっています。

また、企業の競争力の源泉である機密データを守りながら、進化の早い最新 AI を柔軟に取り入れていく環境づくりも重要なテーマです。

目指すアーキテクチャ:「攻め」と「守り」を分離する

当社が本プロジェクトで提示しているのは、AI アプリケーション層(攻め)とデータ基盤層(守り)を分離し、その間をゲートウェイでつなぐ「多層構造・疎結合」のアーキテクチャです。

  • アプリケーション層(攻め): 進化し続ける最先端の AI モデルを柔軟に入れ替え可能にする
  • AI-Ready 層(守り): データの可視化・構造化・ガバナンスを担い、自社のデータを安全にコントロールする

この分離により、特定ベンダーに依存せず、自社データを安全に守りながら最新の AI 技術を活用できる基盤の実現を目指しています。現在は、実証パートナーである株式会社IHI様、積水化学工業株式会社様とともに、非構造化データの可視化やアセスメントに取り組んでいます。

アドバイザリーボードとは

アドバイザリーボードは、実証パートナー以外の企業の皆様にもご参画いただき、日本の製造業に共通する「非構造化データの活用」という課題について、業界横断で議論する場です。
その主な目的は、当社が開発を進めているプロダクトに対するフィードバックをいただき、業界を問わず、より多くの企業に活用いただけるものへと磨き上げていくことです。あわせて、業界共通のデータ評価指標や活用手段についても、参画企業の皆様の知見をお借りしながら、共に作り上げていきたいと考えています。いただいたご意見は、本プロジェクトの成果とあわせて最終報告にも反映していく予定です。

ご参画メンバー(五十音順)

  • 川崎重工業株式会社
  • 京セラコミュニケーションシステム株式会社
  • 高砂熱学工業株式会社
  • 株式会社デンソーテン
  • 東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
  • 日本化薬株式会社

※アドバイザリーボードには、製造業を中心に約 10 社の企業様にご参画いただいており、上記はその一部です。今後も順次、新たな企業様にご参画いただく予定です。

第 1 回本会合の様子と議論のテーマ

第 1 回本会合では、当社が独自に実施した製造業を中心とする「AI 活用実態調査」のレポート共有、開発中のデータアセスメント機能のプロトタイプデモ、および参画企業様とのラウンドテーブルを行いました。

業界レポートとアセスメントツールの紹介

実態調査からは、多くの企業でガイドライン等の整備が進む一方で、「実際に AI に渡して使える品質のデータが整備できていない」「運用フェーズで停滞している」という課題が浮き彫りとなりました。
これに対し会合では、独自指標「FAIR Index(FW AI Readiness Index)」を活用し、ストレージ内のデータから「テキストとして読めるか」「AI が意味を解釈できるか」を解析してダッシュボード可視化するアセスメント機能のプロトタイプをご紹介しました。

ラウンドテーブル:参画企業の皆様からいただいた声

後半のラウンドテーブルでは、前半でご紹介した、開発を進めている「データアセスメント機能」(ストレージ内のデータを解析し、AI が活用できる状態かどうかを「AI-Ready 度」として数値化・可視化する機能)を題材に、参画企業各社の担当者様から現場のリアルな課題感が共有され、活発なディスカッションが行われました。

1. 「すべてのデータを AI-Ready 化する」前提の見直し

LLM 等の急速な技術進化に伴い、「社内の全データを AI-Ready 化する」という従来の発想を見直し、優先順位をつけて線引きしたいという声が多く挙がりました。膨大な全データの変換は現実的ではなく、「どのデータから手をつけるべきか」の判断軸を提供することは、当社が仮説として掲げ、フェーズ1で最も注力・試行錯誤してきたポイントでもあります。

2. 現場に残る「AIが読みにくいデータ」

手書き資料や数式、図面・3D CAD のほか、取引先ごとに様式が異なる書類など、現場特有の複雑なデータ構造がAI活用のハードルになっている課題が共有されました。これらは単一の企業内にとどまらず、業界構造に起因する共通の難しさと言えます。

3. アセスメントの「スコア化」の先にある実運用

「データアセスメント機能によって算出されたスコアを基に、どう対応し投資対効果を判断すべきか」という質問に対し、本ツールは AI-Ready 度の数値化だけでなく、改善手段(OCR や VLM、人による確認など)と費用目安を提示する仕様である点を説明しました。さらに、標準作業手順書等から AI が業務ユースケースを推定し、変換コストと対比させてレコメンドする機能や、ストレージ全体をスキャンしてユースケースをマッピングする仕組み(※現在開発・実証中のプロトタイプ機能)まで実装済みであることを共有しました。
※実証実験における検証結果であり、実際の導入環境やデータ形式により対応範囲が異なる場合があります。

今後の展望

アドバイザリーボードでは今後も全 4 回の本会合と個別ミーティングを重ね、参画企業の皆様からのフィードバックを直接開発へ還元していきます。
フライウィールでは、アセスメントに続くフェーズとして、非構造化データを最適な構造へ組み替える「データ変換エンジン」や、セキュアなデータ利用を実現する「AI ゲートウェイ」の開発を進めてまいります。
このブログでは今後も、本プロジェクトの進捗やアドバイザリーボードの活動、技術的な知見などを順次発信していきます。ぜひご期待ください!