課題点・導入のきっかけ
膨大な「組合員データ」を繋ぎ、人間の限界を超えた分析へ
生活協同組合コープこうべ(以下、コープこうべ)は、兵庫県全域から大阪府北部・京都府京丹後市という広範な活動エリアで組合員の生活を支えています。その事業の柱は、スーパーマーケットを展開する「店舗事業」、組合員宅に商品をお届けする「宅配事業」、そして「共済(保険)事業」の 3つに分かれています。
これらの事業を ID で横断的に繋ぐことで、既存の小売業にはない多角的な視点が得られるという確信は、生協陣営の中に存在していました。しかし、データの存在は認識しつつも、実運用で十分に活用しきれていないことが長年の課題でした。「生協のデータは強い」という自負はありながらも、実際にはその膨大なデータをどう扱い、アクションに繋げるべきかという具体的な手法が確立されていなかったのです。
「CRM 推進室を立ち上げて試行錯誤してきましたが、やはり人間のできることには限界があります。そこにフライウィールの力を借り、AI を使いながら人間の知恵を超えた部分でデータから見えるものがないかと考えました」(圓井氏)
同組織は、データ活用プラットフォーム「Conata®(コナタ)」を提供するフライウィールをパートナーに迎え、人間の知恵を超えたデータ活用への挑戦を開始しました。
どんなことを実施したか?
宅配データから見えた「牛乳」と「共済加入」の意外な相関
今回のプロジェクトで焦点が当てられたのは、「宅配事業の購買データ」を活用して「共済(保険)事業」の新規加入見込み層をいかに効率的に特定するか、という課題でした。特にターゲットとしたのは、お子様向けの保障である「ジュニアコース」です。
当初、コープこうべ側は、「お子様が生まれたことで、おむつや離乳食、ティッシュペーパーといった重くてかさばる育児用品を宅配で注文し始めた層」が最も有望なターゲットである、という予測を立てていました。しかし、フライウィールの AI による分析結果は、その予測を裏切るものでした。最も共済加入のポテンシャルが高かったのは、育児用品の購入層ではなく、「牛乳やパンといった基礎食品を、毎週欠かさず定期的に購入している層」だったのです。
「驚き半分、『やっぱりな』が半分でした。現場の肌感覚からすれば、毎週きちんと注文してくださる方は生協との距離が近く、信頼してくださっている。だからこそ、生協が勧める共済にも関心を持っていただけるのだと、データによって可視化されました」(圓井氏)
単なる「特定商品の購入履歴」ではなく、「生協との接触頻度や生活習慣」こそが、共済への加入動機に繋がっていることが可視化された瞬間でした。
導入の成果
新規獲得率 30.8% 向上、データがもたらす組織の自信
この分析モデルの構築には、徹底した試行錯誤がありました。フライウィールは宅配の購買データ、そして共済の加入データを掛け合わせ、3 週間で 10 回に及ぶモデルのチューニングを繰り返しました。プロジェクトの期間は当初の予定よりも短い約 2 ヶ月という短期間での集中構築でしたが、その成果は劇的なものでした。構築されたモデルに基づき実施された AB テストでは、共済の新規獲得率が従来の手法に比べて「30.8% 向上」するという成果を得ました。
「これまで肌感覚で捉えていた現場の知見が、データという客観的な指標によって証明されたことは、大きな自信に繋がっています」(圓井氏)
“牛乳を毎週買っている”という具体的な生活習慣が共済加入の鍵になるという発見は、より精度が高く、コープこうべにとっても納得感の高いマーケティング活動を可能にしました。また、宅配事業を主力とする全国の他の生協にとっても、このスキームは有効な手法になり得ると同組合では考えています。
お客様からのコメント
最後にメッセージをお願いします
「生協には強いデータがある。どの職員もそう自負していましたが、その具体的な使い方は誰も分からずにいました。データは過去の集積ですが、そこから未来の動きを予測するには人間の力では限界があります。今回、フライウィールさんの AI を活用することで、我々が理想としていた『データの可視化と活用』の入り口に、やっと立つことができたという実感が非常に強くあります。
コープこうべには、店舗・宅配・共済以外にも、まだまだ多くのデータが眠っています。これらを掛け合わせ、組合員一人ひとりのライフステージに違う角度から寄り添うようなサポートができることを、フライウィールさんには期待しています。」(圓井氏)
掲載日: 2026年 3月 13日
