はじめに

こんにちは。データ アナリストの吉野 祐輝です。

私は フライウィールに 2020年2月に入社し、顧客提案時の初期分析や製品導入の効果検証などのデータ分析を主に担当しています。分析を通じてセレンディピティ(アハ体験)を感じられることがとても好きなので、これから企業が成長していく中で多種多様なデータに出会えることがとても楽しみです。

さて、みなさんは、組織のデータ活用度合いを評価する ”モデル” をご存知でしょうか?一般的には「データ成熟度」、英語でいうと「Data (Management) Maturity」モデルなどと呼ばれています。この言葉を聞いたことはあるがなぜ重要なのかうまく把握しきれていない方や、そもそも聞いたことがないという方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)時代においてなぜデータ成熟度の概念が重要であるのか、次回はデータ成熟度をどのように計測するのか、といったことを二回にわたってお届けします。

 

目次

  • データ成熟度とは?
  • なぜデータ成熟度は重要なの?
  • データ成熟度を把握するメリット
  • まとめ

 

データ成熟度とは?

一般的に「成熟度」と呼ばれるものは、経営資源や企業の現状などを数段階(5~6段階が一般的)で評価し、段階に応じた改善や改革を行っていくための指標のことです。

特に「データ成熟度」とは、特定の組織がデータをより適切に活用できるようになることを目的として、データ活用がどれだけ進んでいるかができるだけ客観的に測定された「指標」です。データ成熟度が高いとは、簡単に言うと、データが企業や組織の中に深く浸透し、意思決定やオペレーションにデータが組み込まれるようになった段階です。

成熟度を評価する対象となるものは、主にデータに関わる戦略やガバナンス、ツール、文化といった活用基盤の状況から、ユーザーとのタッチポイントや営業や収益に係るオペレーションなど様々です。

 

なぜデータ成熟度が重要なの?

データ成熟度が昨今の企業にとって重要である理由は2つあります。

1つ目として、データ成熟度と企業業績は高い相関関係があるためです。Grimaldi et al. (2019) は、データ成熟度に関する指標が企業のパフォーマンス(より良い顧客体験とプロバイダの業務効率化)のための条件であると結論づけています。組織としてのデータ成熟度と事業の業績の関係性はその他様々な論文で研究されており、アカデミックでも高く注目されています。

2つ目として、データをビジネス価値に転換する機会が更に広がってきているためです。クラウドや IoT (モノのインターネット)、VR (仮想現実)、AR (拡張現実) などのテクノロジーは大量のデータを生み、かつ保存できるようになっています。米国の調査会社 IDC の予測によれば、世界のデータ量は、2018年の33ゼタバイトから2025年には175ゼタバイトまで増えると予想されています。そこには膨大なビジネス価値が埋もれており、データの活用次第で、ビジネスを加速度的に成長させることも夢ではありません。一方、価値を引き出せていないデータは保存するだけで膨大なコストとなり、経営を圧迫します。

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)の推進にあたって最も重要なことの一つがデータドリブン(データ駆動)な意思決定です。つまり、データ活用が競争上の差別化要因であることは明白である一方、大量のデータからリアルタイムに適切な情報を抽出・分析し、意思決定に役立てることができる企業は多くはありません。

データ成熟度に関わる日本の実情はというと、世界と比べるとあまりポジティブではありません。ログデータ解析ソフトウェアベンダー Splunk Services Japan の調査では、日本は主要7ヶ国の中で最もデータ成熟度が低く、その中で日本のデータ活用の成熟度が低い理由は分析ツール分析スキルの不足にあると指摘されています。

実際、企業の上層部から AI 活用の号令が出ることは多々ある一方で、データに対するスキルが十分でないために適切なツールを選択できないケースや、ツールのみ導入して運用が上手く行っていないケースなど多発しています。

 

データ成熟度を把握するメリット

次に、この「データ成熟度」を組織で活用した場合にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

■立ち位置を客観的に理解できる

データ成熟度の結果を知ることにより、データを基軸とした様々な観点から自社がどの様な状態かといったことや、同業界のベンチマークから競合と比較してどこに立っているかを理解することができます。定量的かつ客観的に自社の強みと弱みを把握できるため、例えば、成熟度が十分に高くないにもかかわらず、高度な分析やツールを導入してしまうなどのミスマッチを避けることができます。

 

全体を俯瞰でき、次のステップに踏み出せる

成熟度調査一般に言えることですが、レベル感の段階が表示されることでデータ活用に必要な要素の全体を俯瞰することができます。そこから自社の次の改善の方向性を探ることができるため、より効果的な改善の実施や、より高いレベルに持って行こうという意識向上につながります。

 

次のステップに到達するための計画を立てられる

データ活用に対する組織的なモチベーションを高められたら次は改善に対する計画立案です。成熟度調査の結果から組織は戦略、ロードマップ、計画、行動の開発のためのプロジェクトを作成できます。特に調査から明らかになった成熟度が低い評価項目については、今後1~2年をスパンに改善策を検討し、データ成熟度の継続的な改善を確実に進めていくことが望ましいです。

 

まとめ

今回は「データ成熟度」モデルについて簡単にご紹介しました。

昨今、世界的に見て多くの企業がデータ活用の成熟化に向けた取り組みを積極的に進めています。ただ、データ成熟組織への転換は多くの企業にとって困難であり、期待したほど急速には進んでいません。更にはデータ活用を急ぐあまり、組織のデータ成熟度とデータ関連ツールのミスマッチが多く発生しています。

データ活用を推進するには、まずは経営層が自社のデータ成熟度の段階を自覚することが必須です。日本企業はスキルやツールに弱みを持っているとの調査もありましたが、客観的なデータから冷静に自己を分析することを強くお勧めします。

自社のデータ成熟度を把握することで、データ成熟度に関する指標への理解や段階ごとのレベル感など取り組むべき課題が見える化されます。データ利活用に向けてどこから手をつければいいか分からなくて困るというケースも多く存在しているため、見える化することで成熟度向上へのモチベーションが上がり、ステップアップするための具体的なロードマップ策定にも役立つことでしょう。

今回の内容からデータ成熟度の重要性について理解されたと思いますので、次回はデータ成熟度の具体的な測定手法についてご紹介します。お楽しみに!

 


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Author: 吉野 祐輝(フライウィール データ アナリスト)

機械学習や統計解析を用いて、顧客データの要件分析から製品導入時の効果検証までデータ分析に関わる業務を全般的に担当。前職のGoogleでは、日本市場を含めたアジア太平洋地区のアプリディベロッパーに対して、データ分析を活用したマーケティング戦略策定を支援。