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フライウィールでのEngineer Team/ Business Teamのコミュニケーション

明けましておめでとうございます。フライウィールでBusiness Managerを担当しているToruです。エンジニアではありませんが、今回このTech Blogに投稿させて頂くことになりました。

フライウィールには2019年5月に入社し、主に新規事業立ち上げやPMO、既存事業のSales Financeなど、有難いことに色々なテーマに関わらせて頂いています。

さて、フライウィールには優秀なエンジニアメンバーが数多く在籍し、特にGAFAM出身のメンバー比率が高いことが1つの特徴です。

当然、他にも事業開発、セールス、オペレーション等を担当するメンバーも在籍しているのですが、各々で専門性の高い業務を担っているため、Engineer Team/Business Team間のコミュニケーションにおいて共通認識を持つことが難しいシーンが屡々あります。これはテクノロジーを強みとする企業では、よくある組織的課題ではないでしょうか?

というわけで今回のTech Blogでは、フライウィールのEngineer Team とBusiness Teamが普段からどのようなコミュニケーションをしているのか、Business Teamの視点からご紹介します。具体的なシーンとして、先日行った社内勉強会の様子を書いてみたいと思います。勉強会のテーマは「情報検索(IR: Information Retrieval)技術について」でした。

勉強会のテーマとしてIR技術を選んだ理由は、フライウィールに集うエンジニアメンバーの大きな強みの1つであり、弊社テクノロジーの根幹を成す技術だからです。膨大なデータに対する情報要求(Demand)とそれに対するSupplyをMatchingさせるテクノロジーとして、IR技術には学ぶべき要素がとても多いです。「データを人々のエネルギーに」をVisionとするフライウィールでは、技術に直接関わらないBusiness Teamにとっても、データに関わるからにはある程度の理解は必要となります。

例えば、Google検索に代表される検索エンジンや、Amazonや楽天市場に代表されるECメディアでの商品レコメンドなど、IR関連技術には多岐にわたる分野で活用できる要素が数多くあります。

また、その技術が十分に効果を発揮するためには、膨大なデータの前処理/時系列化等を行うData Platformの構築が不可欠です。それらを包括的に開発提供できるのが、フライウィールの大きな強みの一つです。

こういった技術を前提として事業開発を推進しているので、当然ながら技術的理解にはメンバー間に壁があります。とはいえ、Engineer Team/Business Teamの相互理解無しには、良い事業は創れないという難しさがあります。

相互理解のためには、ナレッジの共通化は一種の「必要条件」で、「専門外だから分からない」だと、良いコミュニケーションは生まれづらいですよね。これはテクノロジー企業の抱える悩みの1つだと思います。

ですので、非エンジニアの私も関連技術に一定の知識/理解を持つべきだと思い、年末年始の時間を使ってIR技術関連の書籍を読み漁り、全体観を可視化することに取り組んでみました。幸い、専門書の中には優れた書籍が沢山あり、なかでも

情報検索アルゴリズム
情報アクセス技術入門
検索エンジンはなぜ見つけるのか

の3冊は非常に分かりやすく、読み返すごとに理解が深まりました。

フライウィールでは毎週木曜日12:00~13:00は”Lunch Talk”と題して、各々がテーマを自由に設定してプレゼンテーションする場を設けているのですが、その時間を利用して、IR技術についてスライド形式で発表を行いました。

IR技術、特に全文検索技術について概観を整理すると、下図のような構造になります。

この中でポイントとなるのは青字で明示している以下の4点です。

  1. Query Understanding
  2. Document Understanding
  3. Indexing
  4. Scoring/Ranking

これらはあくまで書籍をベースとした理解であり、実務とのギャップは相当程度あります。そのギャップがどのようなものか、どういった点を理解していけば良いかを明確化することが、Engineer TeamとBusiness TeamのGapを埋める上で重要だと思います。

「何もわからないのでゼロから教えてください」ではなく、「ここまで理解できたのですが、どうでしょうか」「この理解は適切ですか」「ここから先はどうなっているのですか」といったコミュニケーションが、専門分野の理解を深める上では基本的なアプローチだと思います。

プレゼンには全エンジニアメンバーが参加してくれました。様々な観点から建設的なフィードバックが得られたことで、非常に理解が深まりました。また、このLunch Talkは各メンバーの目線を揃えるうえで有意義な時間だったと思います。

例えば、一部をご紹介すると、以下のようなフィードバック/議論がありました。

  • RecallとPrecisionのどちらに比重を置くかは、実務ではDocument(= Contents)が何かに大きく依存する。適合性評価はDocument全体に対する評価であり、個別のScoring/Rankingは各Documentごとに着目した観点で検証することが実務では多い。結局は「どういう視点で評価したいか」に依る。
  • 検索という概念に対して、メンバーそれぞれ持っているものが異なる様子。広くはユーザーのインフォメーションニーズを満たすのがInformation Retrievalで、プレゼンで提示されたフレームは検索の仕組みに汎用的に当てはまるものだが、個々の部分をもっと広がりを持たせて捉えた方がIR技術の活用イメージが膨らむ。当然ながら、Documentが何かによってQuery UnderstandingやIndexing、Scoring/Rankingの性質や構造が変わってくる。
  • 各プロジェクトを紹介しながら検索技術に紐づけたフリーディスカッションで理解を深めていくことが、結局は実践的。

DemandとSupplyをMatchingさせる技術として、その根幹となる技術や考え方を数多く内包するIR技術を深く理解・議論できることは、Marketingを不可欠とするビジネスでは非常に有意義なことだと思います。また、そういった技術的側面に対してすぐに議論に参加してくれるメンバーが数多く在籍することは、フライウィールの大きな強みの一つなのだろうと、今回の勉強会を通じて改めて思いました。

フライウィールでは、「データを人々のエネルギーに」をVisionとし、「眠っているデータでビジネスを再構築する」というMissionを掲げたメンバーが、最先端のAI/Engineeringを駆使して世の中に新たな価値を提供すべく日々奮闘しています。私達の取り組みにご興味・ご関心をお持ち頂けた方は、是非一度遊びに来てください!