プロダクトマネージャーの横井啓介です。

前回の投稿では、デジタルトランスフォーメーション戦略、特にデータ利活用戦略の進め方におけるフライウィールの考え方について説明しました。「どのような状態を目指すか」を定義して評価可能な指標・目標を定めた後に、達成するための施策を決定するというステップの順序が重要であること、そして実行には多様なスキルが必要となることをお伝えしています。まだ確認されていない方はそちらを先にご覧いただくことをオススメします。その中で、ステップ全体を実行するケーパビリティがフライウィールの強みとお伝えしましたが、今回は具体的にその中身をお話します。

私たちフライウィールはデータ利活用に関する一気通貫サポートを行い、お客様のデータ利活用施策を「目指す状態」に高い精度で、意味のある形で前進させることに自信を持っています。その理由の一つが、フライウィール・データプラットフォームの存在です。フライウィールの開発チームは、お客様が目指す状態を最短で実現していただけるように、このデータプラットフォームを用います。そのためには事前にお客様と整理した「目指す状態」に向かうための KGI / KPI の向上を、目的として設定しておくことが重要です。その指標をベースに、お客様のデータを基にして各種状況において適切なコンテンツや表現の選定を行い、さらに事業成長に結びつく知見を、お客様へ、そしてお客様のユーザー様へと届けるためのシステムを開発します。今回はその概要を、フライウィール・データプラットフォームが備えている機能を交えて具体的に紹介します。

 

 

フライウィール・データプラットフォームの概要

フライウィール・データプラットフォームは、繰り返しになりますが「データを用いて、状況に応じた適切なコンテンツや表現、お客様の事業成長に結びつく知見や特徴をシステムが探し出し、お客様やお客様のユーザー様に届ける」ためにつくられており、そのための必要な機能(以下、モジュール)を揃えています。モジュールの役割は大きく3種類、データ収集&管理モジュール群(データを「残す」)、データ整理&分析モジュール群(データを「整理する」)、データ最適化&自動化モジュール群(データを「使う」)に分類することができ、お客様ごとに適切なものを選択し、組み合わせ、必要に応じて調整して提供します。

以下、3種類のモジュール群それぞれの概要とポイントを簡潔に説明します。

 

1. データ収集&管理モジュール群

データ収集&管理モジュール群は、お客様の持つウェブやアプリなどオンラインメディアにおけるユーザーアクションを理解するためのSDKやタグなどの計測、Excel ファイルやCSVなどのテキストファイルを含む様々なデータを定期的・継続的に取り込むパイプライン、Webページを収集し必要な情報をピックアップするクローリング、集めたデータを将来的な拡張性を持ちながら目的に応じた扱いやすい形や情報の単位に整形するための前処理などのモジュールを揃えています。

データ利活用を進めるために、まずは評価や最適化などのためのデータを扱えるように、また必要に応じて統合できるようにすることが必要です。私たちはメディア上のアクションだけ、パイプラインだけ、Web情報だけ、または広告用途だけ、可視化用途だけといったものではなく、目指す状態を実現するために必要な情報を総合的に扱うことを目的として、多用途のデータを柔軟に取得できるように構築・整備しているところがポイントです。

 

2. データ整理&分析モジュール群

データ整理&分析モジュール群は、状況に応じた適切なコンテンツや表現を探し出すため、またはアクションログなどのデータから得られるお客様の事業やユーザーに関する知見や特徴を探し出すために、適切なかたちでデータを整理するモジュールを揃えています。大量のオンライン情報からユーザーが求める情報を探し出しているWeb検索エンジンなどでも使われている4種の主な整理を軸に、データから意味を引き出せる状態を整えていることがポイントです。

  • セッション化
    セッションはユーザーなどの一連のアクションを「まとまり」として扱うための構造です。一つひとつのアクションを点として捉えるだけでは見つからない「変化」を捉えることができるようになります。

 

  • ベクトル化
    ベクトルはユーザーや商品/コンテンツなどのアクションや特徴から方向づけを行い、ユーザー同士や商品同士の「近さ」を見つけるための構造です。似たようなユーザーや商品を把握することで、ユーザー1人や商品1つの情報では充分でない予測精度を高めたり、似ているユーザーや商品を集めて「似ているグループ」としてそれぞれの傾向や状態を把握することができるようになります。

 

 

  • グラフ化
    グラフはユーザーと商品/コンテンツなどの結びつきを表現することで、ユーザーがアクションする対象の商品/コンテンツ間の「パターン」を発見したり、定期的なアクションや頻繁なアクションなどの「深さ」を見つけるための構造です。どのユーザーにどんな商品/コンテンツなどを紹介すれば良さそうかを算出することができるようになります。

 

 

  • インデックス化
    インデックスは本の索引のように、特定のインプットに対してどのようなアウトプットが考えられるか「候補対象」を見つけるための構造です。例えばレコメンドエンジンにおいて、商品数が数百万、さらにはそれ以上あるときなどに、全てを対象として「最も可能性が高い10件」を計算するには非常に時間がかかります。「細かいところは都度変わってくるけど、ざっくりこの1万件だけ見れば問題ない」というものを事前に計算し、インデックスとして持たせることで、精度をほぼ下げずに計算時間を圧倒的に短くすることができます。

 

 

3. データ最適化&自動化モジュール群

データ最適化&自動化モジュール群は、整理されたデータを使って最終的なアウトプットを出すためのモジュールを揃えています。お客様の事業価値を高めるアウトプットには多様なものが考えられますが、ここでは2つのモジュールを例に説明します。

1つめは、お客様のユーザー1人ひとりの状態・状況に応じた適切なコンテンツや表現を探して実際に表示する配信モジュールについて説明します。配信モジュールでは「いつ、どこで、誰が、どういう状態のときに、何を見せるか」という問題を解決できるように作られています。仮に「どういう状態」の部分が「『○○○』というキーワードを検索した状態」とするとコンテンツ検索や検索連動型広告などのソリューションとなります。「何を見せるか」においては、モジュールが広告か自社コンテンツかを選択して広告ソリューションや非広告(レコメンドなど)ソリューションを同時に適用することができます。あるいはWebページのコンテンツ群を選ぶ問題として定義した場合には、ユーザーに見せるページの最適化(LPO: ランディングページオプティマイゼーションなど)に適用することができます。

2つめは、お客様のユーザーや商品を、それぞれ適切なタイプに分類して特徴的な要素を視える化する分類モジュールです。例えば、オンライン/オフラインにおけるユーザーの包括的なデータから特徴を見出したものを、施策の効果などに対するお客様のベンチマークとして活用します。特に「年齢や性別ごとでなんとなく施策の効果を見てきたが、具体的な対応策につながらない」「ペルソナを感覚的に設定して施策を出すが、ペルソナに該当する人に刺さっているか計測できない」などの悩みを持つことがある場合は効果的で、新規サービス企画やマーケティング施策など事業成長のための全ての施策の効果を、データの裏付けによって定義されたタイプで深く理解することができるようになります。

 

 

フライウィール・データプラットフォームの使い方

ここまで、フライウィール・データプラットフォームにおけるモジュールの考え方、モジュールでできることについて説明してきました。「フライウィール・データプラットフォームを使うことで他ではできないデータの活用ができる」と押し付けたり、「フライウィール・データプラットフォームを使うだけでDX・データ利活用が成功する」という主張をするつもりは全くありません。繰り返しになりますが、最も重要なことはお客様にとって「どのような状態を目指すか」を明確にすることです。目指す状態を明確にし、評価可能な状態に落とすこと、そして最短距離で効果を出す施策の企画・実現を小さく速く回すこと、このデータ利活用戦略の一連の流れを実現することにおいて私たちはお客様のベストパートナーとなる自信があります。そしてその一つの要因である「小さく速く実現すること」のスピードを圧倒的に早めるためにフライウィール・データプラットフォームは存在しているのです。

 

さいごに

フライウィール・データプラットフォームは私たちフライウィールのノウハウそのものであり、今後もお客様の多様な「目指す状態」への対応を実現するたびに増強されていきます。データ利活用戦略によるお客様の成長をより多く、より深く伴走させてもらうことで、私たち自身もより成長してより高精度の施策を提供させていただくことができる。お客様との関係がまさに「フライウィール(はずみ車)」そのものとなっていきます。お客様の「目指す状態」を実現するため、成長を担うパートナーとしてご検討いただけたら嬉しいです。

 


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Author: 横井啓介(プロダクトマネージャー)
プロダクトチームのリーダーとしてプロダクト全体の方向性・意味付けを担当。前職のリクルートではマーケティングプロダクトオーナーを担当。それ以前はアカツキにて新規事業開発、Microsoft Development Ltd. にてプログラムマネージャーとしてBingの開発を担当。