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DX・データ利活用の進め方

プロダクトマネージャーの横井啓介です。
私たちフライウィールは「データを人々のエネルギーに」をミッションとし、お客様企業のデータにフォーカスし、企画から開発・改善まで、お客様企業が出せる価値を飛躍的に高めるサポートを行っています。
近年、「デジタルトランスフォーメーション(DX : Digital Transformation)を進めたい!」「データをもっと活用したい!」というお客様がますます増えてきたように思います。とても良いことですが、これらの取り組みの意味や目的を正しく決めずに進めると、達成感が得られるのみで成果に結びつかずに終わりかねません。今回はDX戦略、特にデータ利活用戦略について私たちフライウィールの考え方をお伝えします。皆さまの参考になれば幸いです。

データ利活用の進め方

STEP1. 目指す状態を決める

まず最も重要なことは、DXやデータ利活用を推進することでどのような状態を目指すかが明確になっていることです。
経済産業省はDXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義していますが、「競争上の優位性を確立する」こと、つまり最終的にお客様企業にとって、またはその先の顧客にとってどう嬉しいかに繋がることが必要です。
データ利活用も同様で「データを整理したい」「データを使いこなしたい」ではなく、例えば小売EC企業であれば「カスタマーをより深く理解し、より良い購買体験を提供してファンになってもらいたい」「在庫切れによる機会損失や、期限切れによる在庫廃棄など仕方ないコストとして諦められていたものを改善したい」、BtoB企業であれば「従業員を大量の手作業から解放し、低価格で商品を提供しても利益が上がるようにしたい」「営業やサポート人員の経験による依存度を減らし、組織全体のパフォーマンスを上げたい」などです。
機械学習やデータ整理を考える前に、目指したい状態を定めましょう。

STEP2. 状態を評価する指標を定める

目指す状態が定まったら、その状態を評価できる指標を定めましょう。
指標が無いと改善の度合は各人の感覚値でしかなく、振り返りや継続的な改善が難しくなります。KGI (Key Goal Indicator) を定め、そこから分解して実際に運用できる KPIにする必要があります。どのような値がどのように変わると目指す状態に近づけるか、施策一つひとつの効果について組織全体で明確に理解できるようにすることが重要です。

STEP3. 指標を改善するための施策を洗い出す

そこまで整理して初めて、施策を洗い出していきます。
KPI を並べたことで、より具体的なイメージを伴った施策がより多く頭に浮かぶようになっていると思います。小売EC企業で併売率(併売単価)が KPI であれば「かごに入れた商品と組み合わせて購入しやすい商品をおすすめする」であったり、BtoB企業で営業成功率が KPI であれば「失注と相関がある言動を抽出する」だったりするかもしれません。
施策を洗い出したら、評価指標を用いて数字のインパクトがどのくらいかを算出することで、投資の価値をデータによって見積もることも大切です。

STEP4. 適切なデータを施策に合う適切な形で整理する

施策の候補が出たら、それら施策を効果的にするデータが何か、どのような形で整理されていると良いか、施策のアウトプットをどのように見つけるかを検討します。
カスタマー1人1人に合った体験を提供するのであれば、カスタマーを理解する必要があり、カスタマーそれぞれの行動履歴に関するデータや似ているカスタマーを見つけるためのデータがあると良さそうです。その場合はカスタマー一人ひとりの情報が素早く簡単に参照できたり、カスタマー同士が似ているかがシンプルに、即座に計算できるようなデータの整理ができていると良さそうです。

STEP5. 小さく早く始め、データを見ながら拡げていく

いよいよ施策の構築・実行ステップに移ります。
重要なことは小さくて良いので早く始めることです。これまで検討してきたことが現実的にうまく進むか、効果が出るかは厳密には始めてみないとわかりません。どんな施策であっても、1つの施策に最初から大きく投資するのではなく、早く始めて見込みがあるかをデータによって確認することが非常に重要です。
仮に思い通りの効果が出なかった場合、データによる事実を元にその原因を振り返りつつ、場合によっては諦めて次の施策に移ることも判断の一つと考えましょう。「小さく早く始めること」はそのような意思決定をするためにも重要なのです。

STEP6. 継続的な改善とモニタリングを行う

施策の見込みがあることが検証できたら、その施策を重点的に強化・改善していきます。
各種施策を行うことで新たに得られたデータがある場合は、それを次以降の施策に対してのインプットとすることで継続的に改善することができます。その場合も常に KGI/KPI の変化をモニタリングすることが重要ですが、この頃にはきっと、日々の変化を見ることが楽しくなっていることでしょう。

データ利活用に関する一気通貫サポート

ここまで、私たちが考えるデータ利活用戦略の在り方をお伝えしました。「自分たちではとてもじゃないが全部やりきれる気がしない」と思った方もいるかもしれません。確かに、これら全てを短期間で行うことは容易ではありません。というのも、問題を分解して解決策に繋げる知見の広さ・データの扱いに関する理解の深さ・施策の実行のための開発スキル・インパクト試算や効果検証のための分析スキルと、データ利活用に関する多様なケーパビリティが求められるからです。
安心してください。私たちフライウィールはこれらデータ利活用に必要なケーパビリティに特化し、かつ横断的に持ちあわせているため、お客様のデータ利活用を全般的にサポートすることができます。データ活用のプロフェッショナル人材が、お客様の「目指す状態」と保有しているデータを正しく理解し、お客様に寄り添いながら道筋を提案していきます。
加えて、フライウィールが持つデータプラットフォームはデータ整理や施策の実行に伴う様々なモジュールを備え、それらを組み合わせることで単純な受託開発に比べ何倍もの速度で施策を実現、検証、最終的な効果まで導くことが可能です。お客様は面倒な作業をすることなく、持っているデータをありのままの状態で渡していただくだけで、データ活用のプロフェッショナル人材とデータプラットフォームによって一気通貫した価値の実現まで導いていく。それがフライウィールのソリューションです。

さいごに

本記事では、私たちフライウィールが考えるDXおよびデータ利活用の在り方、そしてデータ利活用を一気通貫してサポートするフライウィールのソリューションについて説明させていただきました。次回の投稿では、フライウィール・データプラットフォームの詳細についてお話させていただきます。
私たちは大量のデータを整理して状況に合った適切な情報を見つけ出す情報検索技術に自信を持つ技術者集団であり、私たちが実現してきたノウハウを凝縮したデータ活用プラットフォームとの組み合わせによって、お客様の「目指す状態」に向けて最速/適切な実現から継続的な改善を提供いたします。DX・データ利活用に関して課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談いただければ幸いです。


フライウィールのサービス・製品に関するお問い合わせはこちらのフォームからお願いします。



Author: 横井啓介(プロダクトマネージャー)
プロダクトチームのリーダーとしてプロダクト全体の方向性・意味付けを担当。前職のリクルートではマーケティングプロダクトオーナーを担当。それ以前はアカツキにて新規事業開発、Microsoft Development Ltd. にてプログラムマネージャーとしてBingの開発を担当。